最近の出来事


2022/9/14

2019年2月に特許出願した「予測調整型サスペンションシステム」が特許として登録されました.この特許は,窪みや段差のある道路を通過する前に,サスペンション内のダンパの硬さを適切に調節することで,振動を最大限に抑えようという技術です.ポイントは,舗装路面の凹凸状態,ばね上質量,通過速度に応じて,ダンパの硬さを最適に予測調節するところです.適用するダンパの硬さは,事前に求めておきます.プローブカーを使って予め車両振動を収集しておき,その情報に基づいて走行シミュレーションを行い,ばね上質量と通過速度毎にダンパの最適値を割り出します.自動車のサスペンションにも適用できますが,もともとは,救急車の中に設置されている防振架台のサスペンション部に適用する技術として考案しました.脳血管障害で搬送される場合,振動や衝撃が再出血や血管の再破裂の要因になることから,振動を起こさない対策として,予測調節という形で提案しました.簡易的な実車実験では,ダンパの硬さを変えることで,振動乗り心地が改善できることが分かりました.現在は,この技術の自動化に取り組んでいます.スマホのiPhoneを上位コントローラとして,Raspberry PIを経由して,MRダンパの硬さを制御しています.スマホは,センサ,コントローラ,データロガーの3役を担当している.測定結果の画面確認やサーバへの自動アップロードも可能です.7万円程度でここまでできるので,大変重宝している.


特許証

2022/7/4

毎年1月下旬に全国救急隊員シンポジウムが開催されている.コロナウィルスが蔓延するまでは,共同研究をしている救急車の製造会社様から,当研究室で開発した救急車運転訓練支援システム(DTAS)を会場で紹介してもらっていた.次回の開催地が広島市であることから,それに合わせてiPhone版DTASをAppストアからダウンロード販売できるように,現在,バージョンアップに取り組んでいる.改良点は,従来の縦置き使用のみから,横置き使用も可能にすることである.横置きにすることで,iPhoneの画面をカーナビに表示しても,しっくりくる.基本的に,どの機種でも画面デザインが共通化されるように製作するのだが,これが意外と面倒で時間を要する.この他にも,Apple CarPlayへの対応も検討中.Appストアからのダウンロード販売は,ソフトウェア会社が販売元となり,今秋を予定している.


カーナビへの表示(縦)

カーナビへの表示(横)

横置き使用の画面

2022/6/30

研究室の周辺は林になっており,自然豊かな場所である.今年も何種類かのチョウが舞い,気晴らしに観察している.アカシジミは,5円玉サイズのチョウで夕刻になると樹上を活発に飛び始める.視界に10匹は入っていたので,ここ5年間で一番数が多かった.数年ぶりにウラナミアカシジミも見つけた.最近,AIの物体認識能力が向上しているが,7メール先の木の葉の裏でじっとしている10円玉サイズのオレンジ色のこのチョウを見つけることができのだろうかと考えると,おそらく,まだ人間の方が能力は上だろうなと感じる.また,構内では何度か見かけていたゴイシジミだが,先日初めて写真を撮った.白地に黒の水玉模様という印象的なデザインで,1円玉より小さいチョウである.デザイン的に突出しているのは,ウラギンシジミだろうか.羽を閉じた状態だと,アルミ製の近未来ロボットといった感じで異質.まっすぐに伸びた触覚は,アンテナのようであり,他のチョウには見られない.一般的なチョウを生物学的特徴を持ったゴジラだとすると,ウラギンシジミはメカゴジラ.どうして,このような外観を持つように進化したのか,実に不思議である.


アカシジミ

ウラナミアカシジミ

ゴイシジミ

ウラギンシジミ

2022/3/31

3月24日に卒業式が終わり,明日からは新学期がスタートします.4月4日に入学式,その後にガイダンス等のオリエンテーション,第3週から講義が始まります.今回,多くの講義がオンライン授業から対面授業にシフトします.とは言っても,コロナ感染防止対策として,自分が担当する授業は,対面授業の様子をライブ配信して,学生が自分の判断で対面とオンラインを選択できるようにする予定.授業の様子はビデオに残し,授業を休んだ学生用のオンデマンド教材として活用します.コロナが収束しても,授業ビデオを残すために,オンライン受講の選択肢は残ると思われる.


研究室の卒業生

直接の指導学生

3/31サクラ満開

しだれ桜も満開

2022/3/9

広島県から委託され,約2年間実施してきた「ひろしまサンドボックス実証プロジェクト・広島型路面性状把握業務」が,2月末をもって終了した.この間,月1回の対象道路の全調査,週1回程度で近場の道路の調査を行ってきた.長期間取り組んできた甲斐あって,路面損傷の中でも,穴ぼこの発生プロセスが観察できた.この1年は,穴ぼこの発生を予測する確率式の構築に取り組んだ.穴ぼこは,協力企業が路面映像を人工知能(AI)にかけて半自動的に検出する.穴ぼこの発生事実と検出結果が100%一致するとは限らないため,真に正しい発生確率でなく,誤検出結果を含むデータを用いて検出確率として求めた.この確率式を使うと,例えば,「ここの路面は3ヶ月後には50%の確率で穴ぼことして検出される」ということがわかる.ただし,どの程度の信頼性があるかは定かではなく,今後,穴ぼこの発生事実とAIによる検出結果を一つ一つ照合していく必要がある.膨大な確認作業が伴うため,結果を公表するまで,まだまだ時間がかかりそうだ.
 ひろしまサンドボックス事業を通じて感じたことは,道路維持管理のための技術といえば,土木分野の技術が大半を占めると思っていたが,実際には情報工学の技術が大いに活用されていることがわかった.特に最近流行のディープラーニングを主としたAI技術.高い測定精度が要求される場合は従来型技術が優位であるが,測定精度は落ちも効率性や低廉性が求められる場合は情報工学ベースの技術が優位であり,現時点では技術の棲み分けができているように感じた.今後はAIの測定精度や判定精度が上がり,技術の差が縮まっていくと思われる.また,事業実施中に,路線バスと救急車の振動を測定したが,路線バスは路面モニター車両として優秀だと感じた.数名の運転手が,管理された同型車両を法定最高速度付近で同じように走らせるので,安定した振動測定が可能であり,路面状態を把握しやすい.今後の道路維持管理業務で,バスの活用を是非お薦めしたい.